11月2日、京都市で「宿泊税」条例が可決したと新聞報道されました。ひとりあたり一泊の宿泊料に応じて課税される「宿泊税」ですが、「観光客の受け入れ体制」や「市民生活への影響抑制」のために使われるそうです。
「宿泊税」は必要です。理由は、京都市内には「民泊問題」などの問題点もあるからです。
京都市で「宿泊税」条例が可決
11月2日の京都新聞などで報じていますが、京都市で「宿泊税」条例が可決されています。
2018年秋から、宿泊料金に応じた宿泊税を徴収することになります。
ひとり一泊にかかる宿泊料によって税額が変わります。
2万円以上5万円未満 500円
5万円以上 1000円
京都市議会は2日、9月定例会本会議を開き、市内全ての宿泊施設の利用者に「宿泊税」を課す市条例案を賛成多数で可決した。1人当たり200~千円で、来年10月ごろの施行を目指す。自治体による宿泊税の導入は東京都と大阪府に次いで3例目。
条例が可決されたことで、市の観光政策には観光客の受け入れ体制づくりや観光資源の保全、市民生活への影響抑制などの具体的な成果が求められそうだ。
なぜ京都市で「宿泊税」が必要なのか
では、なぜ京都市で「宿泊税」を徴収する必要があるのでしょうか。
お金が欲しいから?
そりゃ欲しいでしょうけど、もう少し事情が複雑です。
京都では「民泊ブーム」が起きており、町家などが2年ほど前からどんどん民泊や小型の宿泊施設にリフォームされています。
実際に、北野天満宮とか平野神社の周辺なんか町家をリノベした宿泊施設がたくさんありますし、上京区や下京区なんかその比ではないほどの数の宿泊施設があります。
京都では観光客が増加している(実感はあまりない)のと、東京オリンピックなどを控えて京都を訪れる外国人観光客が増加しているのですが、宿泊施設が足りなくて、必要だから「民泊」が増えています。
しかし、この「民泊」に反対という声もあって、地域で民泊建設があったりすると周囲の住民が反対運動をしていたりするのです。
たとえば「出雲路橋西詰」を西に入ったところには、とある政党の民泊潰しが大々的に喧伝されている貼り紙があったりします。
JR山陰本線「花園駅」の南「花園寺ノ内町」でも民泊が建設中で、周囲に「民泊反対」というポスターが見られました。
京都市としても、民泊など宿泊施設は増やしたいところですが、地域住民を納得させるにはそれなりの理由が必要なわけです。
そこで「宿泊税」があれば「税金は市の観光政策には観光客の受け入れ体制づくりや観光資源の保全、市民生活への影響抑制に使われます」という説明もできるようになるのです。
本当に使われるかは別として、「宿泊税」というのは、民泊への風当たりが強い地域への説得に使える材料でもあります。
民泊の最も著しい問題点
この民泊ですが、いろいろな問題点が挙げられています。
夜の騒音や、周辺環境への影響、知らない外国人がうろつくことへの不安などが周辺住民にはあるでしょう。
しかし、「民泊の問題点」で一番重要なのは、とんでもない場所にも民泊ができていることだと思います。
別に、中京区とか上京区とか街中ならいいのですが、右京区とか北区だと「とある問題」もあるのです。
場所はどことは申し上げませんが、深夜0時頃に人の気配のない氷室道を中国人観光客が旅行用ケースを持って歩いていたりするのを、ここ数か月で何度も目撃しています。(上の写真にはその観光客は写っていませんが、後ろに向かって歩いていきました)
そこは21時には京都市バスがなくなるような場所なので、バスに乗れなかった観光客が地図を頼りに深夜の坂道を歩いているのです。
別にタクシーを使えよという話であるのですが、地理感覚のない外国人にはそこが坂道だとは思わないのでしょう。
ちなみに、その坂道は山間の開拓集落に続く道なのですが、軽自動車やスクーターではエンジンが唸るような激坂が続く道です。
距離にして2kmの急こう配の坂道を深夜に中国人観光客が重たいスーツケースを引っ張って歩く姿はなんともいえないものがあります。
実は、2か月ほど前から山間部の住宅街に「民泊があるらしい」という噂を聞いて、周期的に定点観察をしてきました。
すると、宿泊施設がないと思っていた住宅街に、中国人の若い女性観光客がいるのです。実際に、スーツケースを持って歩いていたりするのを何度も目撃しました。
調べてみると、その山間部の住宅地には3棟2業者の民泊あり、いずれも京都市の許可が出ていました。
しかし、こういった実態を見ていると、京都の深夜の交通事情や地形的な特性をもっと業者は告知すべきだと思いますし、京都市も民泊を許可するエリアを制限すべきだと切実に思うようになりました。
予想外の問題点にも対処できるよう「宿泊税」は必要
上記のような問題点は「予想外」のものでしょう。
しかし、今後も予想外な問題点は多く発生するはずです。
その時に、それを解決する財源が必要なのです。
京都市で「宿泊税」条例が可決されましたが、これは必要だと思います。
ちなみに、京都駅周辺では2020年までに新しくオープンする宿泊施設は9ホテルほどあります。
・京都駅前新ホテル(2018年3月頃)
・東塩小路町ホテル(2019年3月)
・京都駅八条口前ホテル(2019年4月頃)
・ダイワロイヤル京都八条東口(2019年4月)
・HOTEL DAIWA京都(2019年6月)
・アパホテル京都駅東(2019年7月)
・JAグループ京都ホテル(2020年)