京都ラーメン よくある間違い まとめ

ネットで流れている「京都ラーメンの定説」には首をかしげるものがいくつかあります。「京都ラーメンは豚骨醤油」とか「京都ラーメンは存在しない」とか何を言っているのかと思うものから、「一乗寺はラーメン激戦区」と間違いではないけど「京都ラーメン最大の激戦区・河原町忘れてません?」というものまであります。

今回はそんな「京都ラーメンの疑問」をまとめてみました。

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京都ラーメン よくある間違い


昔からよくある京都ラーメン

昔からよくある京都ラーメン

ネットなどを見ていると、よく「京都ラーメン」について語っているものがあります。

しかし、それらを見ていると「妙な定説」が見られるのです。

完全な間違いだというのも可哀そうなのですが、ネットで流れている「京都ラーメンの定説」には首をかしげるものがいくつかあります

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「京都ラーメンは存在しない」という間違い


なにが「京都ラーメン」かわからないという方もいます

なにが「京都ラーメン」かわからないという方もいます

京都ラーメンは存在しない

これは、京都には色々なラーメンがあるということを考慮して、厳密に「京都ラーメンとはなにか」と言われると難しいということを言っていると思われます。

しかし、京都ラーメンの王道といえば「背脂醤油」で「背脂チャッチャ系」と呼ばれることもあります。

インスタントラーメンでも「京都ラーメン」として販売されているものは「背脂醤油」です。

ますたに第一旭珍遊」など有名どころは「背脂醤油」で、他にも同様の京都ラーメンを提供するお店はたくさんあります。

ちなみに「背油」ではなく「背脂」です。これ、油と脂の区別がついていないラーメンブロガーもいたりするのですが「油・脂」は料理では使い分けるべきでしょう。

「京都ラーメンは豚骨醤油」という間違い


豚骨醤油を京都ラーメンの王道というのは無理があります

豚骨醤油を京都ラーメンの王道というのは無理があります

京都ラーメンの王道は豚骨醤油ラーメン

これは、かなり恥ずかしい間違いですが、京都にあるラーメン店の多くは「鶏ガラ・丸鶏」を使った鶏ベースの出汁を使っているお店です。

実際に京都でラーメン店を食べ歩いていても「鶏ベース」が多く、老舗や有名店だけで見ても、やっぱり「鶏ベース」です。

【鶏ガラ】
ますたに
ほそかわ(ますたに系)
珍遊
天下一品
魁力屋
来来亭
天天有

【豚骨】
第一旭
ラーメン藤
ラーメン横綱
高安

【鶏ガラ+豚骨】
新福菜館
宝屋

「京都ラーメンはコッテリ」という間違い


コッテリって何?

コッテリって何?

京都ラーメンはコッテリ

これはとてもよく言われていることですが、有名な「ますたに」とか「天下一品」とか、そういう京都ラーメンのことを言っていると思われます。

理由は「アッサリ=清湯」とし「コッテリ=背脂 or 白湯」という定義になっているからです。

清湯と白湯は、この分け方でも良いのですが、背脂を「コッテリ」というのは京都ラーメンを食べていると違和感があります。

背脂の量はお店によってマチマチで、清湯が見えないほど背脂が入っていれば「こってり」とも言えますが、軽く浮かんでいる場合もあるからです。

また、京都の背脂は油分が抜けた出がらしのようなものを使っていることが多く、およそ「コッテリ」と言えるのかという疑問があります。

実は「京都ラーメン」は、油がほとんど浮かんでおらず「背脂」が浮かんでいる点が、関東などのラーメンとの大きな違いなのです。

油であればコッテリ感も出ますが、「背脂=コッテリ」と言い切れるものではないと考えています。

「京都ラーメンはアサッリしてそうだけど、実はコッテリ」という間違い


京都・白川「ますたに」のラーメンがアッサリに見えるなら出直してもらいたい

京都・白川「ますたに」のラーメンがアッサリに見えるなら出直してもらいたい

前述と関係してきますが・・・・

京都ラーメンはアサッリしてそうだけど、実はコッテリ

というのは、もはや京都ラーメンのことを何も分かっていません。

京都ラーメンというのは、見た目はコッテリに見えるけど、食べてみるとそうでもないというラーメンであることが多いのです。

見た目はコッテリ、食べるとアッサリ

これが昔から言われている京都ラーメンの正しい表現です。

こちらの方が的を得ていると思います。

「京都ラーメンは濃い」という間違い


京都の鞍馬山ラーメン 650円

京都の鞍馬山ラーメン 650円

京都ラーメンは濃い

京都ラーメンは強い醤油味

というのも、よく言われているのを見聞きします。

これもかなり恥ずかしい間違いです。

関西はダシ文化

これは有名な話ですが、関西圏というのは出汁(だし)にこだわった和食文化というのが根付いており、特に京都では出汁が「コンブ、カツオ」でないと嫌だという風潮があって、本来はアゴダシの讃岐うどん店も「コンブ、カツオ」を使わざるをえなくてスープだけは変えているところがいくつもあります。

また、関西では味付けとなるカエシに薄口醤油を使うことが多く、辛さという点では関東よりも控えめになっているのです。

京都ラーメンというのはベース(出汁)の味を大事にするラーメンだと言えるでしょう。

「京都ラーメンは細麺」という間違い


京都ラーメンは細麺?いえいえ細めのストレート麺です

京都ラーメンは細麺?いえいえ細めのストレート麺です

京都ラーメンは細麺

これはもう京都ラーメンを語る資格もない間違いです。

京都ラーメンは細麺ではありません。

よく言われるのは、京都は「太めのストレート麺」という表現です。

しかし、この表現って実は曖昧でもあるのです。

厳密に言ってしまうと「中太麺」というのは太麺と普通麺の間くらいの太さです。

京都ラーメンは、切刃番手でいえば「20~24番手」くらいの細さなので、普通麺と細麺の間くらいの麺の太さです。

なので「中細麺」と呼ぶのが正確な表現です。

でも、京都の製麺所でも、この細さを「中太麺」と呼んでいたりもしますし、切刃番手によって太麺と呼ぶか、細麺と呼ぶかは製麺所によっても違っています。

まぁ、厳密に表現するなら「中細麺」くらいに思ってください。

「京都ラーメンと京風ラーメンは別物」という間違い


「京風ラーメン」というジャンアルがあると思ってます?ありませんよ!

「京風ラーメン」というジャンアルがあると思ってます?ありませんよ!

京都ラーメンと京風ラーメンは違う

ラーメンを食べ歩いてもいないラーメンブロガーがよく言う思い込みの激しい間違いのひとつです。

京風ラーメンを「和風っぽく見せたラーメン」だという根拠のない前提(ジャンル化)をした上で「京都ラーメンと京風ラーメンは違う」という主張をしているのですが、実は「京風ラーメン」を名乗って「京都ラーメン」にかなり近いものを提供しているお店もあるのです。

例えば、京都ではない「草津パーキングエリア(下り線)」に「京風ラーメン」があるのですが、背脂の浮いた低加水の細めのストレート麺を使っており、見た目は京都ラーメンと違いはありません。

逆のパターンもあります。

京都市内であっても、八ツ橋の元祖とも言える「西尾八ツ橋」さんでは「京風ラーメン」というメニューを出しており、京都ラーメンの特徴もなにもないラーメンを提供しています。

京都以外では、どこのラーメンなのか全く分からない「京風らーめん あかさたな」とか「京らーめん 糸ぐるま」というお店もありますが、京風を名乗る全部が国籍不明のラーメンというわけでもないのです。

「京風ラーメン」というのは、そういうジャンルがあるわけではなく、提供する側が付けたラーメンの名前でしかありません。

だから、「京風ラーメン」と名乗っていても「京都ラーメン」に近いものもあるという事実がある以上は「京都ラーメンと京風ラーメンは違う」という主張は成立しないわけです。

「天下一品のこってり(ドロドロ)スープが京都ラーメンの典型」という間違い


天下一品のラーメン(こってり)

天下一品のラーメン(こってり)

天下一品のこってり(ドロドロ)スープが京都ラーメンの典型

これ、たまに見かけるのですが、天下一品のこってり(ドロドロ)スープは京都の中でも異質の存在です。

他に、ここまでコッテリなのは最近のラーメン店でいくつか見られるだけです。

また「天下一品」は、1971年創業です。それ以前の1940年代に「ますたに」や「第一旭」という第一世代のお店が京都ラーメンの主流となっているのですから「天下一品が京都ラーメンの典型」というのはおかしいと言えます。

「京都ラーメンは九条ネギが必須」という間違い


京都といえば「九条ねぎ」

京都といえば「九条ねぎ」

京都ラーメンは九条ネギが必須

テレビなどでも紹介される京都名物の「九条ネギ」は、京都ラーメンでもよく使われています。

しかし、京都ラーメンに「九条ネギが必須」というのも妙な表現なのです。

九条ネギ」というのは、そういった品種があるわけではありません。京都で育ったネギを「九条ネギ」というのです。

確かに、京都では普通にスーパーで売っているのも「九条ネギ」です。

しかし、モノとしては普通のネギです。つまり「ラーメンでネギは必須」というのと意味は変わらないのです。

京都発祥のラーメン店「ラーメン横綱」では、ネギは「国産ネギ」を使っています。決して、京都で育った九条ネギだけが使われているわけではないのです。

なお「九条ネギは太い」とよく言われますが、これも間違いです。細いのと太いのと両方あるんですよ。(細い九条ネギと太い九条ネギの違いはこちらです

「一乗寺が京都最大のラーメン激戦区」という間違い


京都のラーメン激戦区のひとつ「一乗寺エリア」

京都のラーメン激戦区のひとつ「一乗寺エリア」

一乗寺が京都最大のラーメン激戦区

西日本最大のラーメン激戦区 一乗寺

これは、あまりにも恥ずかしい間違いです。

京都の「一乗寺」といえば「ラーメンストリート」と呼ばれるほどラーメン店が集まっているエリアです。

京都の有名ラーメン店チェーンはまず出店していますし、有名無名かかわらずラーメン店が多くあります。

しかし、京都で一番ラーメン店が多いのは「一乗寺」ではないのです。

(左)一乗寺、(右)河原町 圧倒的に河原町が多い

(左)一乗寺、(右)河原町 圧倒的に河原町が多い

分布図を精査すると、明らかに「河原町」界隈の方がラーメン店が多いのです。

ちなみに「新横浜ラーメン博物館」の「京都ラーメン」の項では「一条寺」と誤植のままずっと放置されています。

京都のグルメ情報を掲載されている誰かのブログで「一乗寺は繁華街でも歓楽街でもない住宅地にラーメン店だけが異様に多いので注目されている。河原町はラーメン店も多いが飲食店も多いので驚くに値しない」といった意味のことが書かれていましたが、京都で一番ラーメン店が多いのは「一乗寺」ではないということへの否定にはなりませんね。また、その論理でいえば深草~藤森のエリアも一乗寺と同様に繁華街でも歓楽街でもないのに一乗寺と同数程度のラーメン店がありますが、一乗寺のようにラーメン街道とか話題になりません。おかしい話ですよね。

「中華そばとラーメンは違うもの」という間違い


中華そばとラーメンは違うもの?いいえ、同じものです。

中華そばとラーメンは違うもの?いいえ、同じものです。

京都ラーメンとはすこし話は変わりますが・・・・

たまに「中華そばとラーメンは違う」という方がいます。

これも、かなり恥ずかしい間違いなのですが、よくよく話を聞いてみるとニュアンスは「中国と日本のものは違う」という妙な方向性の考え方が根底にあるようです。

しかし、実際には「中華そば」というものが日本にあって、それを別名で「ラーメン」と表記しただけのものです。

よって「中華そばとラーメンは同じもの」というのが正しい認識なのです。

京都ラーメン まとめ


老舗の京都ラーメンは皿にのっていることがあります

老舗の京都ラーメンは皿にのっていることがあります

では「京都ラーメン」というのは、どのようなものなのでしょうか。

簡単にまとめると以下のような特徴が言えると思います。

【京都ラーメンとは】
・ベースの味が強め
・カエシは薄口醤油でベースの味を損なわない味付け
・ベースの味は「鶏ガラ」が王道
・第一旭のように「豚骨」ベースもある
・鶏ガラと豚骨を合わせたラーメン店もある
・脂は入っているが油は関東より少なめ
・背脂は油分が抜けきったものであるのが特徴
・そのため「こってりだけどアッサリ」という場合もある
・清湯が多い
・白湯もあり「天下一品」とか「天天有」などコッテリも知られている
・トッピングは「細もやし・青ネギ・薄いチャーシュー」が定番
・トッピングやスープは多く、麺が見えない店が多い
・麺は「細めのストレート麺」が多い
・丼の下にスープがこぼれないように皿があるのがかつての特徴だった
・一味でアクセントを付けているお店が昭和後期のお店に見られる
・明治大正からある中華そばには最初からコショウがかかっている