京都市右京区嵯峨越畑(こしはた)にある神吉池、2020年10月時点で水がなく干上がった状態になっています。そのため、本来は見ることができなかった池の底や島の下部に広がる地層を見ることができる状態になっています。これは「掻い掘り(かいぼり)」と呼ばれる日本の風物詩ですが、なぜ水が抜かれるのでしょうか。
干上がり水がなく地層が見えている神吉池(廻り田池)
2020年10月初旬、京都市右京区嵯峨越畑(こしはた)にある大きな池「神吉池」を見に行ったところ、水がなく干上がった状態になっていました。
場所は日吉ダムの東側。
別名「廻り田池(まわりたいけ)」と呼ばれているところですが、ここは人工的に作られた農業用水池で普段なら地層が見えているところまで水が貯まっているのが普通の状態です。
元々あった池(神吉池)にアースダムを作って農業用水池になったのが「廻り田池」です。
ここの水が西側にある和田地区などに用水路で水が供給されて農業がおこなわれているのです。
分かりやすく言えば、日本中にある「ため池」のひとつになります。
水がなく干上がった状態であるため、本来は島のようになっていたところも陸続きのようになって見えています。
本来は水があった高さのところに木が生えており、それより下は地肌が見えている状態です。
地肌には地層も見えていて、さながら「干ばつ・水不足」のようにも見えますが、実はそうではないのです。
神吉池(廻り田池)になぜ水がないのか
この水がなく干上がった神吉池(廻り田池)はなぜこのような状態になったのでしょうか。
先ほど、この神吉池(廻り田池)は人工的に作られた農業用水池だと書きました。
つまり、小さなダムで作られたため池であり、水量を調節することは元からできるのです。
水は北を流れる桂川から流入しているようで(未確認)、神吉池(廻り田池)の一番南にあるアースダムから三俣川へと放出されていました(三俣川は大堰川=桂川にまた繋がります)。
その箇所は橋が架けられており、国道477号が通っています。
橋の名前は「いけのうえばし」と呼ばれているのは朽ち果てた橋名柱からわかります。
この橋の下にあるアースダムから水が放流されて神吉池(廻り田池)の水がなくなり干上がった状態になっているのです。
稲作が終わった晩秋に「ため池」の水が抜かれる理由とは
稲作が終わった晩秋に「ため池」の水は抜かれます。
毎年、9月頃から少しずつ水が放流されて、10月に入る頃には今回の写真でお見せした状態になります。
この風景は年に数か月、今しか見られない光景で冬の間だけ見られます。
また春になってくると水が貯められて次の稲作に向けた準備が始まり、桜の咲く頃にはまた水が戻ってくるのです。
地元にも人工的なため池「広沢池」というのがありますが、この時期になると水が抜かれて池底が露わになります(広沢池の水抜きの記事はこちら)。
これは「水抜き」とか「池干し」とも呼ばれる日本の伝統的な風物詩です。
水を抜くことで、池底に太陽光(日光)があたり微生物が泥を分解するそうで、それにより水質を維持することが目的なのだそうです。
正式には「掻い掘り(かいぼり)」と呼ばれています。
泥などを人の手で掻き出すこともあるそうで、それを肥料にする場合もあるそうです。
また、広沢池では水がない状態を利用して魚を捕る「鯉揚げ」が行われたりします(鯉揚げの詳しい記事はこちら)。
また、外来種の駆除を目的に行われることもあり、今の時期であれば日本中で見られる風景というのが・・・・
干上がり水がなく地層が見えている神吉池 (廻り田池)の正体なのです。