京都は日本の中でもケタ違いなほど最上級の砥石が産出される土地であることをご存知でしょうか。産出エリアは北嵯峨~高雄、さらに亀岡の千歳町や、千代川から八木町と園部までと広範囲に渡ります。そして産出エリアによって京都の砥石は「東モン・西モン」と呼ばれているのです。
京都には「東モン・西モン」と呼ばれる砥石がある
京都は戦後すぐまで砥石の産地でした。
上の写真は亀岡市宮前町神前小巻に残る「砥石採掘坑跡」の写真で、小さな坑道にトロッコを敷いて昭和28年頃まで採掘が行われていました。
京都の砥石で有名な産地は「北嵯峨~高雄の周山街道に沿った山間エリア」で、その端は柚子の産地で有名な水尾地区がある愛宕山まで続いていたそうです。
それらは総称して「東モン」と呼ばれていたのですが、東があるなら西もあるということで「西モン」と呼ばれる砥石もありました。
それが亀岡市で「千歳町の北側の三郎ヶ岳」周辺と「千代川~八木町~園部」までの一帯で産出された砥石のことをそのように呼んでいました。
西モン:三郎ヶ岳、千代川~八木町~園部の一帯
京都砥石「東モン・西モン」分布図
上の地図がだいたいの産出エリアで、青が「東モン」で赤が「西モン」と呼ばれる砥石を産出していたエリアです。
当時のことを知るご年配の方に聞くと「砥石で育ったようなもんだからね」と地区が裕福であったことを話してくださることもあります。
昭和30年頃までは砥石生産が盛んで、戦後の高度成長期には砥石の産地では多くの人々が砥石産出に関わる仕事をされていたのです。
今は砥石の需要も少なくなってしまい、一時期あった北山杉ブームの影響で林業などにシフトしていったそうですが、それまでの京都は・・・・
実は砥石の最上級産地だったそうです。
・木津山
・菖蒲高山
・長四郎山
・朝原山
・中山
・北中山
・山崎砥
・猪尻山
・紅山
・勘敷山
・東奥殿山
・西奥殿山
・東白砥山
・表大突山
・天砥山
・裏大突山
・五阡両山
・菖蒲宗五郎山
・巣板口山
・尾崎山
・愛宕滝谷
・愛宕だるま山
・月ノ輪
・三ノ段(三号山)
・大平山
・新田
・八箇
・奥の門
・八箇マルマン
・水木原
・八木ノ嶋
・池ノ内
・芦谷山
・大内地区
・神前地区
京都は砥石の最上級産地
京都の砥石は他の産地と比べて「レベルが段違いの最上級品」と呼ばれています。
日本全国広域に砥石の産地は存在するのですが、京都のものは特別なもので、鎌倉時代から京都の砥石はトップブランドとして使われていたと言われています。
・仏教彫刻で使う道具を研ぐ砥石
・建築で使う道具を研ぐ砥石
京都は木製の仏像も多い歴史ある街ですが、仏教彫刻で使う道具や建築で使う道具を研いでいたのも砥石だし、和食でも包丁を研ぐのも砥石です。
最上級品の砥石が作れる京都だからこそ、そういった文化「工芸文化、建築文化、食文化」が繁栄していったと言っても過言ではありません。
昭和30年台に廃れていった京都の天然砥石
さて、一般の家庭では砥石はあまり使わないと思いますが、40年くらい前までは家庭でも砥石で包丁を研いでいました。
我が家でも家に砥石があって普通に使っていたのですが、安価な「人造砥石」と呼ばれるものが流通をしてハンディタイプの洋式包丁とぎ器へと変わって行きました。
その頃は砥石といっても天然砥石ではなく人造砥石です。
天然砥石は昭和30年頃に人造砥石の台頭で需要が無くなってしまいました。
では「とても貴重な天然砥石」は、今では見ることができないのでしょうか?
京都には砥石の資料館「天然砥石館(亀岡)」がある
昔は見かけた砥石も今は専門店か、高価な希少天然砥石は博物館で展示されるものになってしまっています。
そして、京都には天然砥石の資料館があるのです。
それが「天然砥石館」で、亀岡市の「森のステーションかめおか」にある施設です。
こちらでは京都の砥石(実物)が大量に展示されており「東モン・西モン」の資料が豊富なので、京都の砥石に興味を持ったら一度行ってみると良いでしょう。
※2018年1月7日に訪問した「天然砥石館」で体験した内容を書いていますので最新の情報ではない場合もあります。
評判(口コミ)
砥石です。そうです包丁を研ぐやつです。京都は戦後すぐまで北嵯峨~高雄の周山街道に沿って砥石の産地でした。それを「東モン砥石」というのですが「西モン砥石」もあって亀岡市の千代川~八木町までが産地だったのです。今日はその西モンを「森のステーションかめおか」に見に行ってきました。#京都 pic.twitter.com/8IwhvlutKo
— ノーディレイ (@nodelayworks) 2018年1月7日
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