2017年頃から京都では「オーバーツーリズム」という問題点が出てきています。外国人の宿泊客数が年間で400万人に迫ってきた時期からで、5年前の2012年に比べて宿泊客数が4倍にもなっているからです。
今回はこの「京都のオーバーツーリズム問題」に着目してみたいと思います。
京都のオーバーツーリズムが話題
京都の「オーバーツーリズム」がまた報道されるようになっています。
オーバーツーリズムというのは「観光客が増加して、観光地の許容量を超える」ことを意味する用語で、2017年頃からよく聞くようになりました。
観光客が増加すれば「マナー問題」も発生するのですが、これも一括りに「オーバーツーリズム問題」として扱われています。
京都市で観光をするための外国人宿泊客は2012年までは年間100万人を超えなかったのですが、2013年から中国人観光客の「爆買い」と呼ばれる旅行が増えて、2017年には年間で353万人に宿泊客数が増加をしています。
金閣寺周辺は年々観光客が減少傾向にありますが「祇園、清水、嵐山」などの有名な観光地では「オーバーツーリズム」により観光地や市民への影響も出ています。
では、いったいどんな影響が出ているのでしょうか。
京都のオーバーツーリズム問題
京都における「オーバーツーリズム問題」で一番顕著なのは「交通渋滞」です。
オフシーズンでも京都の道は交差点が多く渋滞するのですが、観光シーズンはなおさらのことで、市民は繁華街に近寄ろうとはしません。
特に一番顕著なのは「バスの混雑」でしょう。
他にも「落書き」や「ゴミ問題」など、いくつものオーバーツーリズム問題が存在しています。
・バスの混雑
・文化財や観光資源への落書き
・ゴミ問題
・混雑している場所でのウエディング撮影
・線路内への立ち入り撮影
慢性的な交通渋滞
京都の観光シーズンは特に道が渋滞することで知られています。
道が狭い上に、町中が碁盤の目のような構造になっていて「交差点だらけ(信号だらけ)」という土地だからです。
そのため、四条付近は慢性的な渋滞で、特に観光シーズン中は繁華街などへは近づけないほどです。
これは京都特有の地理的問題であるのですが、「オーバーツーリズム問題」で特に顕著になってきた事例と言えます。
バスの混雑
もうひとつ、渋滞にプラスして「バスの混雑」というのがあります。
特に観光シーズンは、外国人観光客が京都市バスを使って移動するので、地元の人はバスを使わないようにします。
通勤通学は仕方ありませんが、日中の買い物もなるべく市バスを使いません。
しかし、この「バスの混雑」は観光客が増加する「オーバーツーリズム問題」の主たるものだと報じられているものの、原因は観光客増加だけではありません。
もともと、京都では観光にバスを使うのが奨励されていたからです。
道が狭いから車では来ないように公共交通機関の利用を観光客に求めていたからなのです。
だから、観光客が悪いという話ではなく、あくまでもキャパシティの問題だと言えます。
竹林の小径での落書き
2018年の秋に「オーバーツーリズム問題」としてマスコミが報じたものの中に、嵐山「竹林の小径」で起きた竹への落書きがありました。
上の写真を見れば一目瞭然ですが、観光資源の竹に傷を付けて名前などを掘る観光客がいるのです。
こういった行為は景観を損ねるだけでなく、私有地での器物破損にもなる行為です。
以前はまったくなかったという話ではないのですが、最近の観光客増加(オーバーツーリズム)で目立つようになりました。
食べ歩きなどによるゴミ問題
もうひとつ、京都のオーバーツーリズム問題として「食べ歩きなどによるゴミ問題」があります。
観光客が増加すれば「ゴミも増える」というのは当たり前のことです。
これは地域で対応していくべきことなのですが、テイクアウトで食べ歩きをするようなグルメが多いにもかかわらず「ゴミ箱がない」という観光地もあります。
ゴミ箱を設置するとすぐに溢れて処理が追いつかないというのが理由です。
しかし、それでポイ捨てなどが横行するのでは本末転倒です。
他にも串モノ(揚げ物)の串が捨てられていたり、食べ物で汚れた手で商品を触って汚れたりする事例もあります。
観光地でのウエディング撮影
観光地で記念写真を撮影するのは、ある程度は仕方のないことなのですが、度が過ぎているなと感じるのが「観光地でのウエディング撮影」です。
隅っこで邪魔にならないように撮影している分には構わないのですが、竹林の小径の人が多い中で、観光客をわざわざ止めて撮影しているウエディング関連会社もあったりします。
業務使用で道路を使うのであれば許可が必要で、事前に許可を得ているのかもしれませんが、酷い場合は撮影できるタイミングを待っている別の観光客を無視してウェディング撮影の設営を始める業者もいたりします。
京都市により規制を強化すべきだと感じる「オーバーツーリズム問題」です。
嵐山での線路内への立ち入り撮影
2017年2月以降から問題となったのが、JR山陰本線の野宮踏切での記念撮影です。
どこかのネットサイトで話題になったのか、線路内に立ち入って記念撮影する観光客が一気に増加して、有名な芸能人までも線路に立ち入って撮影したことが問題となりました。
それ以降は警備員が踏切に常駐するようになって、線路内に立ち入る観光客はほぼなくなりました。
これも観光客増加(オーバーツーリズム)によって、SNSなどで撮影スポットが拡散されたことが要因です。
京都のオーバーツーリズム問題 まとめ
ということで「京都のオーバーツーリズム問題」をまとめてみました。
京都は観光産業で成り立っているので、ある程度の問題は許容するのですが、観光客の増加で問題点が浮き彫りになってきています。
しかし、根本的には有名観光地以外への誘導を行って観光地の分散化を行ったり(渋滞問題)、ゴミ問題などは地域の観光事業者で対応すべき問題でしょう。
中には「文化財や観光資源などへの落書き」もありますが、これは処罰していくしかありません。
混雑している場所でのウエディング撮影なども同様に京都市が規制すれば良いだけの問題です。
解決できない問題ではないと思いますので、地域や行政が一緒になって問題点をクリアしていくべきだと思います。
ただ、普段から思うのは、観光メディア(テレビ、雑誌、ネット)などが紹介する京都は・・・・
いつも同じ場所ばかり
だという点です。
確かに有名な観光地ばかり記事にしていけばアクセスも増えるのでしょうが、無責任に紹介だけして「オーバーツーリズム問題」に何も対処していないネットメディアばかりです。
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本ブログでは有名ではない観光地や飲食店を主に紹介しています。
一極集中的な紹介によって生じる問題点に常日頃から注目しており、京都には他にもっと魅力的な場所があることを伝えたいからです。
観光客の皆さんも有名な場所ばかりではなく、もっとディープな京都に目を向けてみても良いのではないでしょうか。
京都の穴場案内 「京いってみた」 や「京都秘境ハンター」。京都の知られざる名所を開拓し、それを参考に観光開発や起業が行いやすくすることが目的です。地元経済への貢献も目標となっています。起業家や行政担当者の方は、ぜひ参考にしてください。