2つ読み方・呼び方がある京都の地名・場所 まとめ

京都に来てとても気になったことがあります。それが地名で同じ漢字でも読み方が2つあったり同じ場所でも呼び方が2つあったりすることです。今回は2つ読み方がある京都の地名・場所をまとめました。

スポンサーリンク

西院(さい・さいいん)


嵐電・西院駅(さいえき)

嵐電・西院駅(さいえき)

難読地名に似た話として京都には同じ漢字で違う読み方をする地名・場所があります。

その最もたるのが「西院」です。

読み方は「さい」もしくは「さいいん」で京福電車嵐山線「西院駅」は「さいえき」と呼びますが阪急京都線「西院駅」は「さいいんえき」と呼ぶのです。

平安時代の地名は「さいいん」で、鎌倉時代~江戸時代に「さい」とも呼ばれるようになります。

ちなみに現行の地名は昭和9年に公式に定められた「さいいん」です。

さらにもうひとつ呼び方があります。

京都の人は「さいん」と発音する人もいたりするのです。

実は京福電車の踏切にある踏切名には「西院(さいん)」となっているところがあるのですが、京福電車嵐山線「西院駅」は当初は「さいん」と書かれていたとも言われています(昭和8年頃に現在の「さい」表記に変わったようです)。

つまり西院は読み方が3つあるということになりますね。

スポンサーリンク

修学院(しゅがくいん、しゅうがくいん)


叡山電鉄本線「修学院駅」

叡山電鉄本線「修学院駅」

さてもうひとつ西院に似た話です。

京都には「修学院駅」というのがあり、京都市左京区に修学院というエリアがあります。

修学院駅は「しゅうがくいん」と振り仮名がふってあります。

駅が開設された当初は「しゅがくいん」だったそうですが、後に「しゅうがくいん」となったそうです。

駅があるところは修学院と呼ばれるエリアですが、これも「しゅうがくいん」と呼ばれています。

でも修学院離宮の読み方は「しゅがくいん」が正しいとする人もいます(ウィキペディアではそうなっています)。

ちなみに修学院離宮の正しい読み方は現在は「しゅうがくいんりきゅう」です。これは宮内庁の修学院離宮のページを見ると施設案内ビデオで「しゅうがくいんりきゅう」と明確に発音しているからです。

スポンサーリンク

烏丸(からすま・からすまる)


烏丸五條 KARASUMARU GOJO 2km と表記されている道路標識

烏丸五條 KARASUMARU GOJO 2km と表記されている道路標識

もうひとつ修学院と同じように昔は別の読み方もあったという地名があります。

それが「烏丸」で現在は「からすま」と読むのが正しいです。

でも、そう読まれるようになったのは昭和前半くらいから明治から昭和初期くらいまでは「からすまからすまる」の読み方が共存していました。

その証拠が今でも残っており九条河原町の交差点には「KARASUMARU」と振り仮名された道路標識が残っています。

場所やもっと詳しい内容はこちらの記事が詳しいのでご覧ください。

情報提供(@coffeelover0105

スポンサーリンク

七条(ななじょう・ひちじょう)


京都の七条通、これなんて読む?

京都の七条通、これなんて読む?

京都駅の南側の通り「七条通」はなんて読むでしょうか?

写真の道路標識に書いてあるので分かると思いますが「しちじょう」と発音されます。

では「ななじょう」と呼ばないのでしょうか?

はい、京都では「ななじょう」とは呼ばれません。

京都市バスでは「ななじょう」と読みますが、これは「しちじょう」と読むと「一条(いちじょう)・四条(しじょう)」との聞き間違える可能性があるためわざとそうアナウンスしているだけです。

しかし、生粋の京都人はこれを「ひちじょう」と呼びます(過去記事参照)。

これは京都の方言で京都人の「しち」は「ひち」と発音されるからです(大阪でも同じ傾向があります)。

また京都人の方言では「ひっちょう」と発音する場合もあるそうです。

スポンサーリンク

建勲神社(たけいさお・けんくん)


建勲神社(京都市北区)

建勲神社(京都市北区)

京都市北区にある織田信長を御祭神とする神社「建勲神社」にも2つの読み方があります。

ひとつは公式の呼称「たけいさおじんじゃ(訓読み)」です。

しかし、地元では通称として「けんくんじんじゃ(音読み)」で呼ばれています。

たけいさおと発音している人はほぼ見かけず、京都市バスの車内アナウンスでも「けんくん」と呼ばれます。

スポンサーリンク

松尾大社(まつのおたいしゃ・まつおたいしゃ)


松尾大社(京都市西京区)

松尾大社(京都市西京区)

もうひとつ2つ読み方がある神社があります。

それが「松尾大社」で正式には「まつのおたいしゃ」が正しいのですが、地元では「まつおたいしゃ」と呼ばれています。

こちらも正式な名称で呼ばれているのを聞いたことがない神社です。

また、昭和25年(1950年)までは「松尾神社」とされており大社ではありませんでした。

情報提供(@azu_cornet

スポンサーリンク

深泥池(みどろがいけ・みぞろがいけ)


深泥池(京都市北区)

深泥池(京都市北区)

京都市北区のミステリースポットとして知られる「深泥池」の読み方はなんと読むでしょうか?

答えは「みどろがいけみぞろがいけ」ですが途中の「が」を抜いて「みどろいけ・みぞろいけ」と呼ばれることもあります。

古くは「みどろいけ・みぞろいけ・みそろいけ」などの読み方で「が」は付いていませんでした。

地名では「上賀茂深泥池町・松ケ崎深泥池端」というのが現在でもあり、そちらも「が」が付かない読み方です。

情報提供(@loveyuca1

スポンサーリンク

木幡(こはた・こわた)


JR木幡駅(宇治市)

JR木幡駅(宇治市)

京都府宇治市にある「JR木幡駅」は普通に読むと「こばた」ですが正確には「こはた」と読みます。

しかし、同じ名前でも京阪の駅では読みが「こわた」になるという駅名です。

JR木幡駅の近くには「許波多神社」という神社がありますが、これの読みは「こはた」です。

昔は「許波多」という漢字が当てられ「こはた」と呼ばれていたことがうかがえますが、駅周辺には「こばた」と読む地名もあったりします。

情報提供(@KEN_813

スポンサーリンク

勧修寺(かじゅうじ・かんしゅうじ)


勧修寺(京都市山科区)

勧修寺(京都市山科区)

京都市山科区にある四季折々の花が咲き乱れるお寺「勧修寺」はなんと読むでしょうか?

答えは「かじゅうじ」で普通に間違えて「かんしゅうじ」だと思っていました。

でも、これが地名になると「かんしゅうじ」が正解になります。京都市山科区勧修寺は「かんしゅうじ」と読む地名なのです。

元は寺の名前を地名にしていたのですが、地区にできた小学校が「勧修小学校」でそれを「かんしゅう」と読んだことから地名は「かんしゅうじ」と変化していった経緯があります。

情報提供(@saizou7365

スポンサーリンク

鴨川と賀茂川


鴨川は鴨川デルタより北で賀茂川と高野川に分かれる

鴨川は鴨川デルタより北で賀茂川と高野川に分かれる

次は京都で一番有名な川「鴨川(かもがわ)」です。

これにはもうひとつ記述があり同じ読み方で「賀茂川(かもがわ)」とも書かれます。

これはどちらが正しいのでしょうか?

どちらも正解です。

京都の鴨川は出町柳の「鴨川デルタ」を境に南を「鴨川」と表記し、北を「賀茂川」を表記するからです。

ちなみにこれと同じなのが「上賀茂神社」と「下鴨神社」の漢字の使い方の違いです。これも鴨川デルタの北にあるのか南にあるのかで変わっています(下鴨神社は鴨川デルタより少し北ですがほぼ同じ位置と解釈しています)。

鴨川デルタより北の地域は古代に賀茂氏と呼ばれる氏族の勢力地域で地名にも賀茂が残っています。

そのため「鴨川と賀茂川」という2つの表記が残っているのです。

スポンサーリンク

貴船(きぶね・きふね)


貴船神社(きふねじんじゃ)

貴船神社(きふねじんじゃ)

貴船」にも2つの読み方があるのはご存じでしょうか?

地名としての読み方は「きぶね」と濁りますが、貴船神社は「きふね」と濁りません。

貴船神社は水の神を祀る社、そのため水が濁らないように社の名前も濁らないのです。

スポンサーリンク

嵯峨と嵐山


嵐山は渡月橋より南側のこと

嵐山は渡月橋より南側のこと

さて、ここでは少し違う話をします。

みんな大好き有名な観光地「嵐山(あらしやま)」です。

嵐電で嵐山駅に到着すると駅前にはおみやげ物屋さんがたくさんあって賑やかなところです。

でも、そこは嵐山ではありません。

地名ではそこは「嵯峨(さが)」と呼ばれるところなのです。

正確には嵐山は渡月橋より南側からが嵐山です。

でも、これは別に明確に区別することではなく嵯峨も嵐山として観光を楽しんでもらいたいと思います。

スポンサーリンク

春日通と佐井通


(佐井)と書かれた春日通の道路標識

(佐井)と書かれた春日通の道路標識

京都には同じ通りなのに2つの表記がある道があります。

それが「佐井通・春日通」で道路標識には「春日通(佐井通)」とわざわざ2つの記述がされています。

昔から春日神社があるため「春日通」と呼ばれていた道なのですが行政的には「佐井通」としているからです。

平安京の時代にはこの道は「道祖大路(さいおおじ)」という道で、それが佐井と変化しているので「佐井通」が正確です。

でも、地元の人は「春日通」と呼ぶので二重表記になっています。

これに似た事例は他の通りでもあります。

例えば東大路通は昔は東山通と呼ばれていた道でどちらでも通用します。

油小路通は伏見区付近では「新堀川通」とも呼ばれますがこれは正式名称ではありません。

東寺のところには「壬生通」と「壬生川通」の二重表記ですが壬生通が正確な呼び方です。

四条通と七本松通の交差点では七本松通を「中新道」と併記している道路標識がありますが、これは四条通より南側では七本松通を中新道と呼ぶからです。

もうひとつ四条通を境にして名前が変わる道があります。

それが「大和大路通り」ですが四条通より北に進むところは「縄手通り」と呼ばれています。縄手は川の土手のことですが、ここがかつては鴨川の土手であったことが地名に残っているのです。

東大路通と東山通
油小路通と新堀川通
壬生通と壬生川通
中新道・七本松通
大和大路通・縄手通

スポンサーリンク

美福通


美福通

美福通

京都の二条城西側に一風変わった名前の通りがあります。

それが「美福通り」で読みは「びふくどおり」となっています。

平安京大内裏の外郭十二門「美福門」があったことが名前の由来で北は丸太町通から南は三条通までという短い通りです。

道路標識もあまり設置されていないため地元でも認知度が低いようです。

そのため、この通りを「二条城西側の道・知恵光院・女学校前」と呼ぶ事例もあるそうです。

情報提供(@ka23oreore

スポンサーリンク

ならびがおか(双ヶ丘・雙ヶ岡・双ヶ岡)


雙ケ岡(ならびがおか)

雙ケ岡(ならびがおか)

京都市右京区にある名勝「雙ヶ岡」これは「ならびがおか」と読む地元の山です。

山頂からは仁和寺を見下ろせるなど景色が良いところです。

近くには「雙ヶ岡古墳群」もあり街中なのに秘境感満載だったりします(登山記録の記事もあります)。

しかし表記としては「双ヶ岡双ヶ丘」と書かれる場合もあり、京都市埋蔵文化財研究所の資料では「双ヶ岡」で、最寄りの中学校やバス停の表記は「双ヶ丘」となっています。

情報提供(@8e7OgKf2ZcmuqdM

スポンサーリンク

京都御苑と京都御所


京都仙洞御所へ入る門(京都御苑内)

京都仙洞御所へ入る門(京都御苑内)

さて最後に「京都御苑と京都御所」の違いについてです。

今出川と丸太町の間に大きく広がる公園はなんという場所でしょうか?

そこは「京都御苑(きょうとぎょえん)」と呼ばれるところです。

京都の人は「御所(ごしょ)」と呼びますが、実際には京都御苑の中に京都御所があります。

これについては過去記事「京都御苑と京都御所はどう違う?」が詳しいので気になった方はチェックしてみてください。