「国道425号」は、紀伊半島の和歌山県と奈良県をつなぐ道です。国道なので東西移動に便利と思いきや、とんでもない悪路で「日本三大酷道」とも言われている道なのです。今回は、国道425号の特に悪路が厳しい区間(龍神~十津川ルート)をバイクで走ってきました。
国道425号の最難関ルートに挑戦
日本三大酷道と言われる「国道425号」の最難関ルートである「龍神村~十津川村」間を完全走破してきました。
特に「龍神村~十津川村」間というのは距離にして44.9キロメートル。
時間にして90分(実際には2時間以上)という行程です。
たかだか45キロほどの行程で2時間以上かかるのは悪路だからです。
(1)舗装されているが離合困難
(2)山道でクネクネとカーブが多い
(3)片方側が「崖」
国道400番台というのは、国道とはいっても舗装されていなかったり離合困難路線であることがほとんどで、よほど通れない限りは整備すらされないという酷道のことです。
特に「国道425号」は日本三大酷道のひとつと呼ばれているほどの酷道です。
※走破日は2016年8月19日です。状況はその後変わっている可能性があります。
日本三大酷道(龍神~十津川ルート)を走ってきた
今回は国道425号のほんの一部(龍神~十津川)区間だけを走ることになります。
ですが、この区間こそ国道425号が酷道と呼ばれる理由となっている区間で、ひたすら車一台分の道が永遠と続くことになります。
正直なところ、車での移動は無謀です。
看板にも迂回路が推奨されていますが、迂回すると4倍近い距離を走ることになります。
しかし、迂回する方がたぶん早く到着するというほどの悪路なのです。
案内板では「国道371号 → 国道425号 → 県道198号 → 国道311号」という大回りで書かれていますが、この区間は完全2車線であるため、このルートが推奨されているわけです。
この道に挑むのが、「温泉担当」です。
実は、あの京都にある天下の酷道477号(百井峠)が生活道という実績があるため、この手の道は得意としています。
その温泉担当に言わせると「国道477号は道がデコボコの登山道」のような道で片方が崖の場所もありますが、基本的には林道です。
今回挑戦する国道425号は根本的に違っていて、こちらは川沿いを走る道であるため、片方は山で、片方は川へ続く崖なのです。そのため、落石と崩落の危険性がある道であると言えます。
決定的に異なるのは距離で、国道477号の百井区間はわずか3.5キロメートルです。
今回はその15倍近い距離を走ることになります。
これはかなり過酷と言えます。
さらに山間の川に沿っているため、何度も何度もクネクネしながら走ることになります。
時速20キロでも危険で、たかだか45キロメートルの道に2時間以上かかったのは、そのためです。
こういった山道を通る方はご存じだと思いますが、川がある山というのは、雨水を多く含んでおり、それが長い時間かけて下流まで流れて川になります。
そのため、道が水浸しであることも多く、雨でもないのにヒンヤリとし、上からは水がしたたり落ちてくるのです。
大雨などが降ると、通行止めになる道もありますが、普段からぬれている道というのは脆いものです。
国道425号も例外ではなく、各所で道が崩落したままとなっていました。
カーブが多く崩落している道は、1秒に満たない脇見運転でも大変危険です。
この道では転落する方も多く、緊張した時間が2時間(45キロメートル)ほど続くというわけです。
途中の崖は高く、ガードレールはありません。
それならまだしも、がけ側の道が崩れ落ちているのでいつ路面崩壊が起きても不思議ではありません。
廃村もある
こんな道でも案内標識はあります。
ところどころで人が住んでいるからです。
人がいなければ、道は当然なくなりますが、集落があって人の姿はありました。
このあたりだと「林業」は大変だと思いますので、京都の山奥ではよく見かける林業の方らしき姿は少ないようです。
でも、集落はありました。
写真は「廃村」ですが、人が住んでいる部分は多少は道が良くなっています。
山の上を走る道もある
集落があるエリアでは、川沿いではなく山の上を通ります。
人が住むには、水浸しの地盤の脆いエリアで、光が届かないような場所では駄目なのです。
人が住んでいる場所だとちょっと安心しちゃいそうですが、実は最も緊張する場面なのです。
対向車が来るからです!
追西川(せいにしがわ)の公衆トイレ
ちょうど集落のあるところ(追西川=せいにしがわ)に、湧き水があって地域の方の生活用水として使用されていました。
その水を使っている「公衆トイレ」もありました。
当日は炎天下だったので、体中から水分が抜けていたためか利用することはありませんでした。
十津川温泉までの道のりを半分来た
集落のある標高の高いエリアから下っていくと、また川沿いの道です。
ここらあたりから道は狭いままですが、普通の林道っぽくなってきて離合できる道幅の箇所が多くなってきます。
これくらいなら、普段から通っている道と同じなのでだいぶ運転が楽になりました。
十津川村迫西川の吊り橋(奈良県吉野郡十津川村)
しばらく進むと吊り橋がありました。
実は、この奈良県吉野郡十津川村だけで50本近い吊り橋があるのです。
この「追西川=せいにしがわ」という集落がある場所だけでも9本ほどの吊り橋があるのですが、道からは見えないものもあります。
近づいてみると、どう見ても渡りたくない雰囲気がするつり橋でした。
いや、むしろ渡らない方が良いとしか思えません。
この吊り橋は名前がどこを調べてもでてこなかったので「十津川村迫西川の吊り橋」と勝手に名前つけました。
湯之野橋(奈良県吉野郡十津川村)
他にも、道から見える吊り橋はいくつかありました。
ここは「湯之野橋」という吊り橋で、バス停もあります。
バスは1日で2便だけというバスですが、この道をバスが通っていることのほうが驚愕です。
さきほどの集落まで行くだけだと思います。
吊り橋は「湯ノ野」の集落へ続くようですが、ずいぶんと使われていないような吊り橋です。
また、高さはかなりあります。
奈良県吉野郡十津川村
緑のトンネル(小山手)
さて、これでやっと半分来たところですが、集落「小坪瀬」(こつぼせ)がありました。
実は、この先に「緑のトンネル」(勝手に命名)があるのです。
このトンネルは、集落「小坪瀬」(こつぼせ)と集落「小山手」をつなぐトンネルとなっています。
この独特の緑色と岩肌がゲームみたいな風景です。
奈良県吉野郡十津川村小山手
小山手の公衆トイレ
緑のトンネルを抜けると「小山手」の集落になります。
ここには公衆トイレがありました。
念のため書いておきますが、和歌山で長距離ドライブをする場合は「トイレットペーパー」が必携です。
なかったら大変ですよね?
津越野橋(吊り橋)
「小山手」の集落を抜けると、一度峠道になって標高が高くなります。
そこを下ったところにあるのが、また吊り橋です。
吊り橋は非常に見つけづらいのですが、バス停があるのですぐに分かります。
橋は結構長い上に高さもあったりします。
そして、あまりにも板が細いので、かなり揺れます。
渡る気もありませんが、あまりにも怖くて足がすくみました。
我が人生に悔いなしです!
奈良県吉野郡十津川村
小林モータース ゴール間近「西中」の集落
「西中」の集落まで来ると、もう道がだいぶ良くなってきます。
すると、曲がり角のところに「小林自動車」という自動車の修理などができる業者さんのお店があったりします。
写真だと反対側なのでわかりませんが、タイヤ激安みたいな広告が結構貼ってあり、絶賛稼働中です。
ある意味で需要はありそうです。
奈良県吉野郡十津川村大字西中422
TEL:0746-66-0215
川合神社 ゴール間近!
ゴールも近い「玉垣内の集落」までやってきました!
ここまでくると、学校にお店などもあったりします。
ただし、ガソリンスタンドはここまで一度も見ていませんし、この先もまだありません。
国道168号と合流!
この赤い橋がゴールで、国道168号との合流です。
ずいぶんと過酷な道で、細い道が永遠に続くかのような気になるほどカーブをたくさん曲がってやっとたどり着きました。
ガソリンスタンドは、赤い橋を渡らないで国道168号を左折するとエネオスがあります。
ちなみに、右折すると新宮市(しんぐうし)方面ですが、熊野本宮までガソリンスタンドはないのでご注意ください。
すぐ近くには、テレビでよく見る世界遺産の「熊野古道」があるのと、温泉もあって足湯もキレイで空いているので立ち寄るのも良いと思います。
日本三大酷道(龍神~十津川ルート)まとめ
ということで、山だらけの和歌山県(紀伊半島)の国道425号の悪路区間を走ってきました。
国道425号は三重県尾鷲市~和歌山県御坊市という紀伊半島を東西に完全横断する道ですが、今回走ったのはその一部区間です。
しかし、その一部だけでも大変苦労するほど、紀伊半島の道は険しいと言えます。
(1)三重県尾鷲市~和歌山県御坊市という紀伊半島を東西に完全横断する
(2)車1台分の道幅で離合困難
(3)片側が崖でガードレールがない
(4)カーブだらけ
(5)カーブで崩落しており夜間は気がつかずに転落する可能性大
(6)舗装はされているが荒れている
(7)落石があるのでバイクで乗り上げるとすっ飛ぶ
(8)対向車が来たらアウト
(9)とにかく夜間は危険!
紀伊半島は縦移動でさえも常にガス欠の危険にさらされることが多く、昼間の移動ならまだしも夜間はガソリンスタンドが営業していないところが多くて移動出来なくなる可能性があります。
行く場合は、バイクで昼間の移動がオススメです。