今回の「京都案内」は、市内で一番好きな博物館「京都市学校歴史博物館」へ行ってきましたので写真紹介します。江戸時代から戦後まで、京都の学校制度の変遷を写真と資料で知ることができる有意義な博物館です。
それで、入館料が200円というお手軽な博物館でもあるのです。
京都市学校歴史博物館へ行ってきました
今回の「京都案内」は、四条河原町からも近い「京都市学校歴史博物館」へ行ってきました。
館内撮影許可を得て、写真をまじえながら、どのような博物館なのかを紹介したいと思います。
こちらの「京都市学校歴史博物館」は、京都市の学校の歴史を集めた貴重な博物館で、旧京都市立開智小学校を博物館にした建物です。
幕末の寺子屋や藩校、1869年(明治2年)に初めて市内に64の「番組小学校」が開設された事情なども知ることができます。
1869年(明治2年)は「蛤御門の変」があった直後で、京都も荒廃してしまっており、その復興期に住民からの寄付(なかば強制)で今の小学校にあたるものが建設されたそうです。
京都市内では初めての鉄筋コンクリートの校舎「本能小学校(大正10年)」の写真
京都市内では初めての鉄筋コンクリートの校舎「本能小学校(大正10年)」の写真もありました。
こういう写真がたくさんあるので、昔の京都の雰囲気を感じ取ることもできました。
歴史を学ぶというのは、何が起きたかというよりも、昔の雰囲気やものの考え方を学ぶことなので、こういう写真は貴重な資料です。
番組小学校の「学神」
明治2年(1869年)12月、京都市内には64の小学校が建設されました。
これを「番組小学校」というのですが、京都では昔から家が数軒で「町」となり、その集合体が「町組」と呼ばれる制度になっていました。
明治時代に、京都市内では新しい町組が作られたのですが、それを新しく「番組」と呼んでおり、番組ごとに1校の小学校を作ったから「番組小学校」というのです。
その際に、天満神(菅原道真)を礼拝することが布令によって決定され、上の写真のように拝礼することが義務付けられたのでした。
学校教育も神頼みだったんですね。
明治の国風を尊重する時代の学校資料
明治10年ころから、なぜか日本では「欧化主義」への批判が出てきます。
いわゆる「ナショナリズム」ですが、そこから教育も「国風を尊重する」ようなものに変わっていきます。
「忠孝」とか「二宮金次郎」が尊重された時代です。
戦時中の教育
昭和16年4月、太平洋戦争が始まった時代は「国民小学校」という名前になります。
非常に「戦時色」の強い教科書を使った教育が行われていた時代です。
防空訓練、農園での勤労奉仕も教育カリキュラムの中にありました。正直、今の時代にはとても考えられない教育が、実際に行われていた時代です。
しかし、そんな時代も長く続きませんでした。
戦後すぐ、小学生が受けた最初の授業は「自分の教科書に墨を塗る授業」でした。
占領軍が進駐してきたからです。
戦後の小学校
資料は、戦後のものも展示されています。
戦後、日本は連合軍(GHQ)の支配下に置かれますが、その時代の「ローマ字の教科書」を読むこともできます。
現在の日本は、一応独立国家としての体裁をもっていますが、今でもこの時代の縛りの中にある・・・・というと色々問題もありますが、まぁ昔はアメリカ様の言うことが絶対だった時代もあったのです。
文部省「新しい憲法のはなし」
日本は、先の大戦で完膚なきまでに負けました。
国民は戦争を反省し、もう二度と戦争をしたくないと誓った時代です。
その時代、あたらしい憲法が制定されます。
その憲法は「あたらしい憲法のはなし」という教科書で教育され「戦争放棄」が国是であると教育されました。
ま、なんか今それをひっくり返そうとしている政治家もいますけども。
学校給食の歴史
戦後、日本は「ユニセフ・ララ・進駐軍」の寄付によって学校給食が配給されるようになりました。
当時、日本は深刻な食糧不足であり、この学校給食が楽しみだったと当時を知る人は言いますね。
「脱脂粉乳だけは嫌だった」という声もありますが、当時の給食の変遷が分かる資料もありました。
昭和44年に脱脂粉乳が廃止されます。
そして、一品追加されて少し豪華になります。
私はこの世代なので、脱脂粉乳は飲んだことがありません。
ちなみに「アルマイト食器セット」が300円という値段で売られていました。
欲しくて、5分ほど受付で悩みました。
京都市学校歴史博物館 基本情報
ということで、こんな楽しい博物館が京都市内にあって、それも200円で見られちゃうというのだからお得な博物館です。
ちなみに、全然混んでいません。
むしろ、人がいません。
国宝もいいですが、歴史の何を評価するかは、人それぞれです。
私は「地理、学校教育」に関する歴史が一番好きなので、こういうどちらにも関係する博物館が一番大好きですね。
入館料:200円
開館時間:9時~17時
休館日:水曜、年末年始