今回の「京都案内」は「本野精吾邸(もとのせいごてい)」の紹介です。衣笠にある洋館で「中村鎮式ブロック(L字型ブロック)」を使った珍しい近代建築です。「日本最初のモダニズム建築」とも言われています。
建築後初の一般公開ということなので見に行ってきました。
本野精吾邸が初めて一般公開(京都・衣笠)
本野精吾邸が、2017年7月8日~9月30日の期間で初の一般公開を行っています。
京都・衣笠「立命館大学」すぐ隣にある京都の建築家の宅鄭で、大正時代に使われた「中村鎮式ブロック(L字型ブロック)」という方法で建築された私邸です。
・大正13年建築
・日本最初のモダニズム建築
・中村鎮式L字ブロック工法
・2017年7月8日~9月30日(7/15、8/19、9/16は休み)
本野精吾(もとのせいご)は大正~昭和の建築家で、第二次世界大戦前のドイツに留学して建築様式を勉強後、日本で邸宅や船の設計を行った方です。
「京都市考古資料館」(大正3年)の建築家で、今の「京都工芸繊維大学3号館」(昭和5年)も彼の作品です。
・読売新聞社 2代目社長「本野盛亨」の五男
・栗原邸(山科)、京都市考古資料館(西陣)、京都工芸繊維大学3号館(北山)など建築
・大戦前のドイツで建築を学ぶ
読売新聞創業者一族ですが、関東大震災後に正力松太郎が読売新聞を買収しているので、今の読売新聞とはあまり関係はありません。
本野精吾邸 内部の様子
私邸ですが、一階に大広間や台所・トイレ(未公開)がある邸宅です。
説明では敷地は500平米、邸宅は100平米ほどとのことで、大きいお屋敷というわけではありません。
一階には、ピアノや「葡萄式暖炉」がある大広間がありました。
ブドウの装飾が施されている「葡萄式暖炉」です。
この暖炉はレンガ式ですが、実はこの邸宅もレンガ式で「L字型ブロック」という方法で建築されています。
L字型ブロック
「L字型ブロック」というのは「中村鎮式ブロック」というもので、L字の薄いブロックを交互に組み合わせて、中の空間に鉄筋を通してコンクリートを流し込む建築様式です。
要するに「鉄筋コンクリート」ですが、木枠が不要な建築様式になっています。
大正時代に関東でも使われていた手法ですが、地震にも強い建築様式として知られています。
本野精吾邸 2階の様子
2階には洋間が3部屋ありました。
今は人が住んでいないため、普段は何もないお屋敷です。
もう少し、当時の調度品などあればイメージが付きやすいのですが、そういったものはほぼありません。
建築家らしい採光の良いお部屋ばかりです。窓も大きく、大正ガラスが使われていました。
そのため、写真が若干見づらいかもしれません。
ドアノブもデザインされたもので、1階は縦長のもの、2階は丸いデザインになっています。
本野精吾は船のデザインも行っていたので、こういうデザインも普段からしていたのでしょう。
本野精吾邸
ということで、今回の「京都案内」は衣笠にある「本野精吾邸」を見に行ってきました。
本坊初公開ということで、今度はいつ入れるかわかりませんので貴重な一般公開です。
現在、京都市では「第42回 文化財特別公開」(京の夏の旅)が開催されており、そのひとつとして公開されています。
2017年7月8日~9月30日(7/15、8/19、9/16は休み)、10時~16時までです(7/14、8/18、9/15は15:30まで)。
入館料は600円です。
京都府京都市北区小松原北町27
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