京都府、宮津に近い福知山北部に鬼をテーマにした博物館があります。大江町という鬼伝説発祥の地と思われる土地にあり、町に伝わる伝承や鬼文化についての資料がたくさん展示されている博物館です。その博物館というのが「日本の鬼の交流博物館」です。
日本の鬼の交流博物館(福知山市大江町)へ行ってきた
日本の鬼の交流博物館(福知山市大江町)へ行ってきました。
日本における鬼伝承(鬼退治伝説)は岡山県の桃太郎が有名ですが、実は日本の47都道府県すべてに鬼伝説が残っています。
その伝説の発祥地については諸説あるものの、京都府福知山市大江町に伝わる源頼光による「大江山の鬼退治伝説」もとても有名な鬼退治伝説のひとつです。
その伝説とは平安時代の武士・源頼光とその部下である四天王「渡辺綱・坂田金時・碓井貞光・卜部季武」が大江山に潜んでいた鬼の頭領「酒呑童子(しゅてんどうじ)」を倒すという伝承です。
四天王のひとり「坂田金時」は金太郎のモデルとも言われており、京都の鬼退治伝説が全国に広がっていった可能性もあります。
日本と世界各地の鬼伝説
鬼は日本のみならず世界各国に似た伝承が残されています。
日本の鬼が誕生する平安時代より前から、中国や朝鮮半島では遠くにいる蛮族を鬼のような存在と考えたり、得体の知れないものを妖怪に例えたりすることがありました。
鬼という文字は中国で「亡霊」の意味で、その文字が仏教とともに日本へ入り、日本の「オニ」に「鬼」の文字があてられたと思われます。
日本でも平安時代以降になり「鬼」は蛮族・得体の知れないものとして考えられていたようで、大江山の鬼退治伝説も悪事をはたらいていた当時の人々や地方の豪族を倒した物語であったであろうと推測されています。
また、そういった武勇伝として伝わる鬼以外にも「雷神・風神」のうな神様として伝わる鬼もいます。
雷神・風神は古くから鬼の姿で描かれており、自然の猛威や不思議な現象を鬼の仕業と考えて作り話としての鬼が生まれました。
武勇伝の中に出てくる悪い鬼より前に神様としての鬼があり、それが陰陽道や仏教の影響を受けて悪い鬼になり、陰陽五行説の「鬼門(きもん)」という考え方が出てきます。
そういうこともあり、日本では鬼は「神の化身」であったり「悪い鬼」であったりするのだと思われます。
一例として、先祖神・来訪神的な性格をもつ鬼を表現した「ナマハゲ・アマメハゲ・トシドン」などの民族行事が各地に伝わっていたりします。
九州地方では、正月の門松を「鬼木(オニギ)」と読んだり、神送りの火を「鬼火(オニビ)」と呼ぶのは「鬼」を神として考えていた信仰によるものです。
埼玉県比企郡嵐山町には「鬼鎮神社(きじんじんじゃ)」という社がありますが、毎年節分になると「福は内、鬼は内、悪魔は外」といって豆をまく風習があります。
また、疫病除けに「鬼神さま」の絵馬を家の軒先に吊るす風習もあります。
日本各地には似たような伝承があり、他にも大分県神埼下白木地区の「天満社鬼神社」でも同じように鬼の絵馬を家の軒先に吊るして魔除けにしたりしています。
このように鬼は退治するものだけではなく「祀られる鬼」も存在しているのです。
なお、大江山の鬼退治伝説について紹介している記事もありますのでぜひご覧ください。
・日本ではオニと呼ばれていたが中国から伝来した漢字「鬼」にあてられた
・民間信仰としての鬼神が元から日本全国にあった
・平安時代になると武士が台頭、その武勇伝として退治する対象を鬼と考えた
・また、平安時代には陰陽道や仏教の影響を受けて鬼を悪とする思想が出てくる
・鬼はその後「退治されるもの・怖い存在」として認識されていった
日本の鬼の交流博物館(福知山市大江町)
2021年5月15日放送の『世界ふしぎ発見!』でも、鬼は退治される存在だけではなく、近年の悪いイメージの鬼という考えを覆す内容になると思われます。
福知山市大江町の「日本の鬼の交流博物館」でも、いろいろなイメージとしての鬼が紹介されていて、世界各地の鬼・日本各地の鬼が展示されています。
今はコロナ渦で休館していますが、コロナが落ち着いてきたらぜひ行ってみていただきたい場所です。
場所は福知山市の北部、宮津へと向かう途中の大江町です。
住所でいえば「〒620-0321 京都府福知山市大江町仏性寺909」で、地図で見たい場合はこちらをクリックしてください(Google Mapsが開きます)。