京都市北区、地元である西陣にある京都カフェ「さらさ西陣」が『所さん!大変ですよ』で紹介されるそうです。建物は昭和の建築物ではありますが、店内にある大正生まれのマジョリカタイルを紹介するみたいです。今回はそんな「京都に残る大正ロマン」を紹介したいと思います。
京都カフェ「さらさ西陣」の大正生まれマジョリカタイルが『所さん!大変ですよ』で紹介
2020年10月22日放送の『所さん!大変ですよ』で、京都の地元は西陣にあるカフェ「さらさ西陣」さんの店内が予告映像で映っていました。
番組は「大正ロマン着物が女性に大人気」というテーマで、大胆な構図や西洋風のデザインが人気の「大正ロマン着物」にハマってしまったという女性たちが紹介されるようです。
大正生まれのカラフルな柄が特徴の「マジョリカタイル」を紹介するところで、西陣にあるカフェ「さらさ西陣」さんが紹介されるというのです。
京都市北区(西陣)にある銭湯カフェ「さらさ西陣」は昭和初期頃の建築だと言われています。
元は「藤の森湯」という銭湯で、平成11年に閉業した後にカフェとなりました。
そのため、建物自体は大正ロマンではありません。
でも、京都には大正ロマンを感じる建造物がまだまだ残っています。
今回はそんな「京都に残る大正ロマン」を紹介したいと思います。
船岡温泉(大正12年)
先ほどの「さらさ西陣」さんから西へ少し歩くと、大きな和風建築の銭湯「船岡温泉」が見えてきます。
地元で愛される銭湯ですが、大正12年建造の建物や中に見られる「マジョリカタイル」で知られており、西洋人観光客にも人気の銭湯です。
前述のようにマジョリカタイルは大正時代生まれ、派手なデザインでありながら洋風と和風の良いところをあわせもった柄は今でも通用する洗練されたデザインです。
元は料理旅館「船岡楼(大正12年創業)」が前身、1947年(昭和22年)から銭湯「船岡温泉」となりました。
建物もマジョリカタイルも大正時代のもので、京都でも大正ロマンをよく感じられる場所です。
夢二カフェ五龍閣(大正12年)
京都市東山区の清水寺へと向かう道の途中に「夢二カフェ五龍閣」という建物があります。
大正12年建造の洋館で、元は事業家であった松風嘉定の邸宅。
中は三階まで続く吹き抜けの階段があります。
外観は洋風、中もステンドガラスを使ったデザインなのですが、屋根だけは「瓦」を使っています。
清水寺の門前であることから、遠くから見える屋根の部分だけは和風を取り入れた設計になっているのです。
現在は大正ロマンを感じるカフェ「夢二カフェ五龍閣」となっています。
昔、この坂に竹久夢二が女性と住んでいたそうです。そのため夢二カフェとなったようです。
ただし、現在は新型コロナの影響で営業休止となっています。
レストラン菊水(大正5年)
京都市東山区、四条大橋の東詰にあるカフェ・レストラン「レストラン菊水」です。
この建物は大正5年に建造されたもので、ヨーロピアンフォルムの洋館がとてもよく目立ちます。
国登録文化財にも指定されていて、歴史的建造物となっています。
1階はカフェ、2階からはレストランとなっていて「ハンバーグセット(1800円)、ビーフシチュー(2500円)」などの洋食を食べることができます。
大正ロマンを感じられるお店で観光客にもとても人気があります。
東華菜館(大正15年)
先ほどのレストラン菊水の反対側、四条大橋西詰にひときわ目立つ洋館があります。
北京料理の「東華菜館」です。
こちらは大正15年建造で、アメリカの建築家である「W.M.ヴォーリズ」が設計していて、よくよく見るととても複雑でありながら優雅な建築美を感じる建物です。
当時は西洋料理店「矢尾政」として開業したのですが、戦時中に洋食文化が国策として非難される中「東華菜館」になりました。
スパニッシュ・バロックの洋館で、中には日本最古のエレベーターもあることでテレビで最近紹介されることが多いですね。
文椿ビルディング(大正9年)
次からは歴史的建造物の宝庫「三条通」を見てみましょう。
烏丸御池から三条通を西へ入ると、まずは大正9年建築の「文椿ビルディング」が見えてきます。
大正9年建造、外見はタイルですが、珍しい木造建築の洋館です。当初は貿易会社「西村貿易」の建物でした。
現在は204年10月16日に再生されてレストランなどが入る建物になっています。
中に入ると当時の古さを感じる建物です。
旧山口銀行京都支店(大正5年)
先ほどの「文椿ビルディング」から一度烏丸通に戻って南へ下がると3筋目の南西角に「旧山口銀行京都支店」が見えてきます。
大正5年建造の鉄筋コンクリート構造の建物で、外見は当時の姿を残しています。
ただ、中はレストラン「DEAN & DELUCA MARKET STORES 京都」になっていて今はその面影はありません。
日本生命 京都支店(大正3年)
さて、次は烏丸通から三条通を東へと向かいます。
途中に「中京郵便局(明治35年)」や「旧日本銀行 京都支店(明治39年)」といったレンガ造の大型建築物が並びます。
その先にあるのが「日本生命 京都支店」です。
大正3年建造で、外見は石造りですが、外見をそう見せているだけで建物はレンガ造りだそうです。
西隣り、現在「京王京都三条ビル」の部分も同じ建物だったのですが、昭和58年に上の写真にある個所(一部分)だけ残して取り壊されました。
旧不動貯蓄銀行(大正5年頃)
三条通をさらに東へ歩くと細かいタイルが貼られた建築物が見えてきます。
それが「旧不動貯蓄銀行」です。
大正5年頃に建築された洋風の建物ですが「木骨レンガ造」で柱や梁(はり)は木で出来ています。
外見のみをレンガ造りにしている建物です。
大正期の建物はマジョリカタイルと同じで幾何学的なデザインが多いのですが、こちらの建物もとても複雑なデザインが施されています。
なお、すぐ東側には「家邊徳時計店(明治23年)」も見えます。
こちらも中は木造ですがレンガ造のように見える建物です。ベランダがあるのが特徴的な洋館です。
のばら珈琲
最後に「のばら珈琲」を紹介しておきましょう。
こちらの建物は昭和の洋風な建物ではあるのですが、大正時代のグッズなどを見ることができます。
また、とても静かで雰囲気の良いカフェです。
まだ、あまり知られていないのですが、本ブログでもノスタルジックな隠れ家カフェとして「のばら珈琲」さんを2019年5月に紹介したことがあります。
店内には大正~昭和初期に女性の間で人気だった「クラブ化粧品」のポスターが店内に貼られていたりして大正ロマンの一端を感じることができます。
戦前の日本(明治末期~昭和初期)は外国の文化を多いに取り入れていた時代です。
家電製品や洋服も洒落たデザインのものが多く、生活も文化も今とほとんど違いがありませんでした。
日本が精神的に一番豊かだった時代だとも言われるこの時代、今よりも豊かだった大正ロマンを京都で感じる旅をするのも面白いと思います。