今回の「京都案内」は、町中にある「看板建築」の建物を見に行ってきました。「看板建築」とは聞きなれない言葉ですが、実は京都には結構残っていたりします。特に御所の東側の河原町通周辺で見るのですが、これは洋風建築に見せかけた建物のことです。
では、この「看板建築」の建物とはどのようなものなのでしょうか。
具体的に見てみましょう。
京都に残る「看板建築」とは
今回の「京都案内」は、大正時代によく作られた建築様式「看板建築」を見に行ってきました。
聞きなれない言葉ですが、この「看板建築」というのはどのようなものなのでしょうか。
まさかの「看板の建て方」とかの話でしょうか?
うちの困ったちゃん温泉担当に、さっそく聞いてみたところ・・・・
彼は重たい口を微かに動かしながらこう言ったのです。
温泉担当 「カッ、カッカカ!看板建築とは時代劇のセットみたいなものなんだな!(*⁰▿⁰*)」
ハリボテですか!?
ノムラ理容室の看板建築(上京区)
看板建築というのは、わかりやすく言うと「木造なんだけど洋風の屋敷」に見せるような、表面だけ取り繕った建築です。
このページの最初に掲載した写真は、上京区「ノムラ理容室」さんの壁面にある洋風の石壁で、明らかに本来の建物とは異なる洋風な部分があるのが分かります。
これは比較的分かりやすい事例なのですが、木造家屋(商店も兼ねた)を洋風建築に見せているのが分かります。
しかし、もっと分かりづらい建物が他にもあります。
京都府京都市上京区立本寺前町95(地図)
桂弘薬局の看板建築(上京区)
こちらは、先ほどの場所から今出川通に出た付近にある「桂弘薬局」さんという廃業されたお店の跡地です。
なにやらモダンな洋風建築に見えますが、これも「看板建築」で表面だけの建物です。
もう少し近づいてみましょう。
洒落た石造りの建物にしか見えませんが、中は木造建築になっています。
よく分からないので、地図の航空写真で見ると分かりやすいです。
看板建築というのは衛星写真で上から見ると箱で囲まれた不思議な民家のことなのです。
京都府京都市上京区米屋町292−1(地図)
※この建物は2018年に取り壊しとなりました。
中村宗商店の看板建築(中京区)
二条通の「高倉通~室町通」は、江戸時代の薬種仲間の薬問屋などが多く並んでいた薬屋街でした。
そこにあるのが「中村宗商店」さんという元工業薬品を扱っていた商店さんですが、こちらも「看板建築」です。
航空写真で見ると、ガワの内側が和風の家屋になっているのがよく分かります。
京都府京都市中京区仁王門町21(地図)
京都の看板建築
看板建築は一見すると、大正時代に建てられた洋風の「近代建築」に似た建物です。
この両者の違いは、分かりやすくいえば「資金量」です。
資金があれば洋風の屋敷を建てられるのですが、資金がなかったから「見た目だけの洋風建築」になったわけです。
上の写真は精肉店の「出町岡田商会」さんですが、これは元々から洋風建築であって看板建築ではありません。
京都府京都市上京区青龍町239-2(地図)
さて、この「看板建築」ですが、京都だけのものではありません。
大正時代中ごろから昭和初期くらいまで、こういう建物が全国的に建築されています。
京都は古い建物だらけなので、なかなか目に止まらないのですが、探せば他にもまだまだあります。
見た目だけでは、なかなか判断できないものもありますが、街を歩く時に「看板建築はあるかな?」と見ながら歩くと面白いかもしれません。