【正確にはカリフの国】イスラム国という呼称は間違っていない、後藤健二さんの事件で的を得ない議論が続く

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今回の後藤健二さんのイスラム国での事件は、日本では「自己責任論」や「後藤さんを中傷する悪質なデマ」そして「ISISクソコラグランプリ」などが噴出しており、見るに耐えない状況です。これが日本の民度なのです。

「自己責任論」は、国家は国民の生命を守るという大原則がわかっていません。これは、安倍自民党政権でさえ「国家は国民の生命を守る義務がある」と言っているように、実際に守ったか守れるのかという問題以前に、国家の根本原則です。

「後藤さんを中傷する悪質なデマ」そして「ISISクソコラグランプリ」については言うまでもないでしょう。

しかし、他にもおかしな論調が出ています。それが、「イスラム国という呼称はオカシイ」という議論です。

しかし、「イスラム国という呼称は正しい」のです。むしろ、これが話題になること自体がオカシイのです。

そして、正確に言うならば「カリフの国」というのが正しいのです。

そして、結論として、イスラム国は「イスラム過激派」という呼び方で良いのだと思います。

「ISILは『アラブの山賊』と呼べばいい」 黒鉄ヒロシのテレビ発言


この「イスラム国という呼称はオカシイ」という議論は自民党内でもあり、呼称を「ISIL」に統一しています。また、テレビでも報道されたことから、一般にも「イスラム国という呼称はオカシイ」という風潮が多く語られています。

しかし、「イスラム国という呼称は正しい」のです。むしろ、これが話題になること自体がオカシイのです。

2015年2月1日の情報番組「サンデースクランブル」(テレビ朝日系)では、出演者の「黒鉄ヒロシ」が、以下の発言をしたと話題になっています。

「悪い予測ではあるかなと思っていたんですけれど、ここまできてもね、まだ『イスラム国』という名前を使うのが勘違いのもとで…」

そして、黒鉄さんは、呼び替えの案として「アラブの山賊たち」と発言した。
ところが、その瞬間、突然画面と音声が切り替わり、報道フロアからのニュースになった。そこから約10分間、ISIL関連の臨時ニュースが続き、一瞬スタジオに戻るも、すぐにきょう1日の動きを振り返るVTRに切り替わった。
放送開始から約20分、黒鉄さんらの座っていた席に、「専門家」として宮家邦彦氏、田中浩一郎氏、安田純平氏が登場した。この日のゲストコメンテーター、ノンフィクション作家の小松成美さんが発言する場面もあったが、なかなか黒鉄さんは画面に登場しなかった。

イスラム国の呼称はおかしいから「アラブの山賊」と呼べばいいと「黒鉄ヒロシ」が発言した途端に、彼は永久に芸能界からハブられる運命となりました。(推測含む)

それはともかくとして、彼の発言は「イスラム国の呼称はおかしい」という議論そのものです。

しかし、「【イスラム国の正体】「報道されない中東の真実」とは何か」で一度書きましたが、英語では「Islamic State」です。そして、「State」は「国」という意味なのですが、この「国」から得る感覚が、正しい「State = 国」の定義と、日本人の得る感覚がズレているのです。

イスラム国という呼びかたは正しい

ISIL = Islamic State in Iraq and the Levant(米政府が使用、後に安倍自民党も使用)
ISIS = the Islamic State in Iraq and al-Sham(米報道機関が使用)
Islamic State(イスラム国が主張)

安倍自民党は「ISIL = Islamic State in Iraq and the Levant」を使っています。これは、「イスラム国ではおかしい」という理屈で使用されていますが、根本的にその理屈がおかしいのです。

「ISIL」も「Islamic State」(イスラム国)と入っているのです。

英語で「State」というのは、「ある状態」を表すのが本来の意味で、それが「国家」や「国」という意味で使われます。これは、国際的に「国家」と認めらるられないにかかわらず、「領土を持ち、政治的に組織され、主権を有する状態」のことを言います。

つまり、現在「イスラム国」が、シリア北部とイラク北部で「領土を持ち、政治的に組織され、主権を有する状態」という意味で使われる「State」なのです。

日本人は「国」をなにかから認定されたものと思っているらしい


今回、日本の中で「イスラム国というのは国じゃないんだから、この呼び方を止めるべきだ」という主張が多く見られます。

これ、まったく意味がわかりません。

「国」とはなんでしょう?

これは、先に書いたように「領土を持ち、政治的に組織され、主権を有する状態」という意味です。

領土を持ち、政治的に組織され、主権を有する状態

安倍政権も黒鉄ヒロシも、多くの日本人も、「国」というのが、なにかから認定された存在であると勘違いしています。

ここに日本人の国際感覚のなさが露呈しています。

イスラエルとイスラムの区別もついていない。
アメリカやイスラエルがアラブの民にしてきた仕打ちを知らない。
スンニ派とシーア派の存在も知らない。

「イスラム」を使用するのがオカシイというのは的をえている


この「イスラム国という呼称はおかしい」という理由には他の理由もあります。

それが「イスラムとは到底呼べないのだから、イスラム国はおかしい」という主張です。

これは半分は正しいです。

しかし、これは「イスラム」に宗派があるから一部では正しいのであって「イスラム」(教)は平和な宗教というのは間違っています。「イスラム」は平和である方が良いとは述べていますが、人をあやめることは選択肢として残しています。

日本の神道と異なり、外来宗教である仏教やキリスト教などは「教え」であり、モノの考え方を示したものです。イスラムは「なるべく平和に解決したほうが良いが、場合によっては戦争は必要だ」というモノの考えかたが書かれているものです。

単純に「イスラム」の教えの何を重視するかの問題だということです。

しかし、自民党は谷垣禎一幹事長が記者会見で「独立国家として承認している印象を与えかねない」と話していることからも分かるように、あくまでも「国」というのがオカシイと言っており、「イスラム」の呼称をとやかくは言っていません。

イスラム国は正確には「カリフとイスラムのための国」


イスラム国自身は「دولة الخلافة الاسلامية」と名乗っています。

これは「カリフとイスラムのための国」という意味です。この「カリフ」というのは、イスラム国の指導者のことで、彼らの支持者はことあるごとに「カリフの教えに従わなければならない」としています。

「カリフとイスラムのための国」という意味。もともとは「IS」だが、彼らは現在常にこう自分たちを呼んでいる。

しかし、上で書いたように「イスラムの国」というのは一部ではおかしいのです。彼らは多くの平和的なイスラムから非難されており、「イスラムの国」とは到底呼ぶこともできません。

つまり、国際世論的には、イスラム国というのは「領土を持ち、政治的に組織され、主権を有するカリフを筆頭とした集団」なのです。

イスラム国というのは「領土を持ち、政治的に組織され、主権を有するカリフを筆頭とした集団。

より正しく呼称するなら、カリフを指導者とする武装勢力が組織する「カリフの国」なのです。

そういう点では、黒鉄ヒロシの「アラブの山賊」というのは言い得ています。

一番わかりやすいのは「イスラム過激派」


「イスラム国」の言い分も聞かずに、日本人でも理解しやすく、善良なイスラムに配慮した呼び方はひとつです。

「イスラム過激派」

過去これで大きな問題は起きていません。

もう、これで統一すれば良いのではと思います。

その他の「イスラム国」関連記事はこちらです。

イスラム国の正体

  1. 2004年
    • 「アルカイダ分派」としてイスラム教スンニ派過激派武装勢力をアブムサブ・ザルカウィが設立
  2. 2006年後半
    • 組織再編で、ISI(イラクのイスラム国)となる。
  3. 2013年4月
    • 組織再編で、ヌスラ戦線を編入。今後「イスラム国」を名乗ることを示唆。
  4. 2013年後半
    • アメリカ・ワシントン政府が「イスラム国」を「ISIL」と呼び出す。(ISIL = Islamic State in Iraq and the Levant)
  5. 2013年後半
    • 米報道では「イスラム国」を「ISIS」と呼び出す。(ISIS = the Islamic State in Iraq and al-Sham)
  6. 2013年後半
    • 「イスラム国」は「イスラム国」利用を主張。(Islamic State)

一時期「ダーイッシュ」(DAIISH)とも呼ばれていました。これは悪役っぽい呼称。

後に「イスラム国」に編入される「ヌスラ戦線」は、自由シリア軍・イスラム戦線などと共同作戦を行ってきた組織で、当時から過激なイスラム原理主義者として知られていました。

「ヌスラ戦線」には、当初から外国人傭兵が5000人いると言われており、今の「イスラム国」に外国人が多いのもそのせいです。

そして、「ヌスラ戦線」に戦闘員を派遣していたのが、アメリカや親米中東国家(トルコ)などでした。

なお、日本では、今でも「自由シリア軍」とマスコミで報じられますが、実体は崩壊しています。その分派であった「イスラム戦線」が現在は勢力を持っており、この「イスラム戦線」は過去に、司令官が人JIN肉食べたと報じられ話題となったあの武装勢力です。

2010年まで4年間駐在した当時は、シリアの社会全体は非常に明るかった。父の跡を継ぎ2000年に発足した現バシャール・アサド政権は紛れもない独裁政権です。が、彼自身は、反アサドの欧米や周辺国が作り上げた悪のイメージとは違い、体制内改革を推進していました。閣僚たちには、傲慢を捨て国民とともにあれと折を見て訓示し、治安当局には国民との関係改善を進めさせていました。一部の不満分子には厳しく対処しても、一般市民への態度は先代とは劇的に変化していたんです。

そういう意味でアサド大統領はかなり努力しました。ところが2011年3月に最初の民衆蜂起が発生し、政権転覆をおそれた治安当局は再び牙をむきだした。アサド現政権の10年間の改革は水泡に帰してしまった。

一連の反体制派による内紛を、アサドは外国から押し付けられた戦争だと思っています。国内の反体制派組織は約3000で、大半はいわゆる強盗団ですが、いくつかの勢力は外国から支援を受けている。アサド政権としては、外国が資金・武器・兵站支援を止めさえすれば、1カ月で事態は収まると考えていました。

http://toyokeizai.net/articles/-/49687

これまでの簡単なシリア内戦の流れ

  • 世界各地で「アラブの春」が発生
  • アメリカ共和党系&イスラエルにより「自由シリア軍」が創設
  • シリアでも反体制運動が発生
  • アサド政権は当初は黙認
  • 自由シリア軍が市民を襲撃し「アサド政権の仕業」と流布
  • アサド政権と自由シリア軍が内戦を始める。
  • アル・ヌスラ戦線など外国人傭兵を含むイスラムのサラフィ主義者が混乱に乗じてシリア内戦に参戦し非人道行為を繰り返し、それを「アサド政権の仕業と流布」
  • 自由シリア軍とアル・ヌスラ戦線(外国人傭兵)は当初は共同戦線でシリア政府軍と対峙
  • 自由シリア軍とアル・ヌスラ戦線の間でも戦闘が起きる。
  • 現在のイスラム国である「IS」がイラクから内戦に参加。サラフィ主義者として非人道行為を繰り返して自分たちの成果だと世界に流布を始める
  • シリア政府軍と自由シリア軍とアル・ヌスラ戦線とISが乱戦を繰り返す。
  • 自由シリア軍本部(外国から指揮)に不正・腐敗がはびこる
  • 自由シリア軍実戦部隊にも不正・腐敗がはびこる。
  • 自由シリア軍が機能しなくなり、自由シリア軍に参加していた「イスラム戦線」(シリア人)が自由シリア軍の実権を得る。
  • アル・ヌスラ戦線(外国人傭兵)の多くが「IS」に吸収される。
  • シリア反体制派が混乱している隙にシリア政府軍が盛り返す(ここまで2013年)
  • シリア政府軍・イスラム戦線・ISの三つ巴の戦いになる。
  • 一時は反体制派の牙城だったアレッポはシリア政府軍とイスラム戦線が東西で二分するようになる。
  • ISはイラクに近い「ラッカ」を制圧し、支配地域を拡大。
  • 現在に至る

オススメできるシリア関連書籍


そこらへんの信用できないジャーナリストではなく、中東専門家の本ばかりです。

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イスラム国の正体 (朝日新書)

↑ とにかくこれがおススメです ↑

これは、日本人のシリア在住大使「国枝昌樹」さんが書いた真実の記録です。シリアの実態がこれで分かります。

出版社の異なる同名のプロパガンダ本は間違っても買わないでください。

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シリア アサド政権の40年史 (平凡社新書)

↑ こちらも「国枝昌樹」さんの本です ↑

アサド政権を現地で見た実際の様子が書かれています。日本で報道されてきた内容がどれだけ大嘘かが分かります。

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報道されない中東の真実 動乱のシリア・アラブ世界の地殻変動

↑ こちらも「国枝昌樹」さんの本です ↑

こちらもおすすめです。イスラエルがどれだけ欺瞞に満ちた国家か分かるように真実の報道に迫ります。

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↑ 中東専門研究員 青山弘之さんの本です ↑

こちらも現地の報道をつぶさに精査して、公正に記録された書籍です。アメリカの欺瞞がよく分かります。

その他の「政治担当」記事はこちらです。

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